大阪は美しい桜も咲き、とても温かく、過ごしやすい気候になってきました。
あの多くの尊い命が失われてから、はや40日。
せめて被災地に温もりを・・・、心を魅了する美しい桜が咲いてほしいと願っています。

この地震は、愛する家族がいること、帰る家があること、温かいシャワーをあびられること。そんなあたりまえの日常が、とてもすばらしいことであることを教えていただきました。

そして、お互いに助け合う人々の温もりを感じさせていただきました。

震災の後、私は自分にできることとして、義援金の募金運動にできるだけ行くようにしています。最初は、見ず知らずの方々が通る前で、声をあげて募金活動することがとても恥ずかしく、抵抗があったのですが、馴れてくるといいものですね。

募金活動は、人々の温もりを感じることができるのです。
見知らぬ方々との温かいふれあいがあるのです。

募金くださる方は、
「おつかれさまです。がんばってくださいね。」とか、
「いろんな場所でしているから、少ししかできないけど・・・」
「こんなことしか、できないから」
などと嬉しいお声をかけてくださいます。
いろいろなお話をしてくださる方もいらっしゃいます。

中には、団体の方々が列になって順番に入れてくださったり、小さなお子さまが入れてくれたり、自転車で通り過ぎた方がわざわざ戻ってきてくださった方もいらっしゃいました。

そして、何より嬉しいことが、みんな笑顔でしてくださるんです。

実際にそんな光景を目の当たりにすると本当に感動するんですよ。
思わず、募金箱をもったまま涙することも度々ございました。

被災地や被災者を思ってはじめた募金活動ですが、自分自身の心を豊かにしてくれました。

この感動は、募金をする側にたたれた方しかわかりませんので、もし皆様も募金する機会があれば、勇気をもってなさることを是非お勧めいたします。


被災地のことを思う文章ばかりを書かせていただきましたが、もちろん愛するお子さまを亡くされる悲しみは、この上ない悲しみであることは深く心得ております。
可愛いお子さまの幸せと、ご両親の深い悲しみのケアは、常光円満寺に与えられている最も大切な使命であることは変わることがございません。
水子さまのお供養は、これからも責任をもってさせていただきますのでご安心ください。

お子さまのためにも、悲しみから逃げようとするのではなく、しっかりと向き合い、そして悲しみを乗り越える勇気をお持ちになってくださいね。


最後に、この震災で「子供たちの温もりある心」をインターネットを見つけたので、お届けいたします。子供の心って、本当に純粋で美しいです。
でも、あなたの召された赤ちゃんは、それ以上に純粋で美しい心をお持ちですよ。

優しい気持ちになることを願って・・・

『子供の背中』
子供がお菓子を持ってレジに並んでいたけれど、順番が近くなり、レジを見て考え込み、レジ横にあった募金箱にお金を入れて、お菓子を棚に戻して出て行きました。店員さんがその子供の背中に向けてかけた、ありがとうございます、という声が震えてました。

『10ヶ月分』
みんなの節電の結果がすごいことになったみたいだね。今日小学生の弟が自分のお財布から5000円札にぎりしめて、学校の募金箱の中に入れてた。毎月500円をお小遣いでもらってる弟。10か月分だよ。かなり感動した(:_;)

『安全な場所』
娘三歳がぬいぐるみ達をうんしょ、うんしょとどこかに運んでいた。「じしんがくるから、みんなひなんしたの」と言う。しばらくして、さて寝るかとパパの掛け布団を開いたらぬいぐるみが全員寝てた。思わず吹き出した。そして、いつもパパと寝てる娘三歳が「ここが安全」と思ってくれていて嬉しかった。

『パパの仕事』
旦那さんが自衛官の友人より。以前息子さんが「パパは戦争がお仕事?」と涙ながら聞いてきた事があったそうだ。誰かの心ない言葉に傷付いたんだろう。今、息子さんは毎日TV画面に向かい「パパ頑張れ、パパのお友だち頑張れ!」と叫んでるって。「僕も自衛隊になる!」って。...通勤中に号泣。

『アンパンマン』
被災地で、こどものケアのためアンパンの歌を流したところこどもは、大喜び。それ以上に、親たちが号泣されたとのことです。子供たちのケアも重要。親たちは、子供の笑いを待っている。

『守りたい』
妹のmixi日記に泣けた...『長男@小4が、自分の財布と貯金箱の中身を全部募金したいと、号泣しながら差し出してきた。コロコロコミック買えなくてもいいから、日本まもりたいから!って』

『残りいくら?』
ファミマに行ったら聞こえてきた高校生くらいのDQNぽい男子の会話「やべー300円も募金しちゃったわ俺の今月残り100円もないわまじやべー」「無理すんなよ俺財布に残ってた500円玉募金したから空っぽだわまじやべー」ミサワかよと思ったけど、
日本終わってない

『お年玉』
募金箱の前にて幼稚園位の男の子と母親の会話。母「貯めてたのに本当にいいの?」子「3DS我慢する。これで地震の人の家建てる。」と言いお年玉袋から5,000円を寄付。母「偉いね。地震の人、これで寒くなくなるね。」男の子思わず号泣。後ろにいた私、大号泣。

『治るから』
うちの三歳の娘が、いきなり十円玉だらけのお小遣いを持ってきて、泣いている人に一つずつあげるんだって。これで、地震治るねって。。みんな良く考えよう。自分にやれる事がやれているか。

『優しさが生まれてくる』
スーパーに行ったら盲目の人が買い物してて、盲導犬もいて、普段はちょっとけむたいような目でみんな見るのに、色んな人が必要なものあったら、探してきますよとか声掛けてた。優しさが小さくても見えなくても生まれてる。また涙出た。
普段ならお節介だよねで見ない振りしてたよね。。

『志願』
父が明日、福島原発の応援に派遣されます。半年後定年を迎える父が自ら志願したと聞き、涙が出そうになりました。「今の対応次第で原発の未来が変わる。使命感を持っていく。」家では頼りなく感じる父ですが、私は今日程誇りに思ったことはありません。無事の帰宅を祈ります。


私たちは、多くの温もりや優しさに包まれております。
お互いに頑張って乗り越えましょうね。
合 掌

副住職 藤田晃秀
常光円満寺 副住職でございます。
まずは、この度の震災における被災者の皆様方に、心よりお見舞い申し上げます。

愛する家族や、想い出のつまった家を失われた方。電気もストーブのない場所で想像を絶する飢えと、凍えるような寒さに苦しみながら、どのような思いで過ごされているのか、想像するだけで心が痛く、涙する日々が続きます。仙台の若林区には私の知人がいるのですが、未だに安否確認はできていません。
また、物不足、ライフラインの崩壊、原発問題、未だ続く余震、円の急騰、株の暴落、今の現状を整理すると不安だらけ。
被災地の方のあまりにも過酷な苦しみや、日本が崩壊してしまうのではないかという恐怖で、私には、ほとんど笑顔がなくなり眠れない日々が続きました。

今の私にできることは義援金と祈りをささげることだけ。

そんな中で、私の心を救ってくれる出来事が3つございました。

まず1つ目は、先日、私が所属する団体で講演会がございまして、最後に義援金を募らせていただいたのです。
すると、義援金の募金箱の前には長蛇の列が・・・。
その光景は、本当にすばらしく温もりにあふれていました。
皆様のその光景をみたとたん、感動して涙があふれ、笑顔と勇気を与えてくれました。

日本は大丈夫!!心からそう思えた瞬間でした。

そして2つ目は、被災者の笑顔です。被災地でも子供たちが笑顔で無邪気に遊んでいる姿、そしてその姿を笑顔で見守る大人たち。被災地にもちゃんと笑顔があるんだって思えました。
あの笑顔も、私の心の救いになりました。
きっと被災地の方も、子供たちの笑顔で心救われている方も多いと思います。

そして3つ目、知人からすばらしい映像をおしえていただきました。

「あなたたちは一人じゃない」
http://www.youtube.com/watch?v=IxUsgXCaVtc

今は、みんなが一丸となって一日も早い被災地の復旧を願っている。
世界中が悲劇に立ち向かう日本人の姿勢を賞賛している。
この映像は日本人であることの誇りと、大きな勇気と元気を与えてくれました。

これからも私は被災者のため、自分のできることをやって行きたいと思います。
家があるありがたさ、家族がいるありがたさ、食することのできるありがたさを痛感しながら・・・。


パソコンの方は見ることができるのですが、携帯の方は見れないので、流れてくるメッセージをある程度紹介させていただきます。

国連「日本は今まで世界中に援助をしてきた援助大国だ。今回は国連が全力で日本を援助する。」

BBC報道「地上最悪の地震が世界で一番準備され訓練された国を襲った。その力や政府が試される。犠牲は出たが他の国ではこんなに正しい行動はとれないだろう。日本人は文化的に感情を抑制する力がある。」

『ディズニーランドでの出来事』
ディズニーランドでは、ショップのお菓子なども配給された。ちょっと派手目な女子高生たちが必要以上にたくさんもらってて「何だ?」って一瞬思ったけど、その後その子たちが、避難所の子供たちにお菓子を配っていたところを見て感動。子供連れは動けない状況だったから、本当にありがたい心配りだった。

『渋滞した交差点での出来事』
一回の青信号で一台しか前に進めないなんてザラだったけど、誰もが譲り合い穏やかに運転している姿に感動した。複雑な交差点で交通が5分以上完全マヒするシーンもあったけど、10時間の間お礼以外のクラクションの音を耳にしなかった。恐怖と同時に心温まる時間で、日本がますます好きになった。

『揺れている最中でも・・・』
とっさに「入口の確保」と揺れてるにも関わらず、あの状況で歩いて入口を開けた人が居たのが凄いと思った。正直、シャンデリアも証明も何時落ちるか分からないのに、凄く勇敢な人が居たことに感動した。

『段ボールに感動』
ホームで待ちくたびれていたら、ホームレスの人達が寒いから敷けって段ボールをくれた。いつも私達は横目で流しているのに。
あたたかいです。

『外国人から見た日本人』
外国人から見た地震災害の反応。物が散乱しているスーパーで、落ちているものを律儀に拾い、そして列に黙って並んでお金を払って買い物をする。運転再開した電車で混んでるのに妊婦に席を譲るお年寄り。この光景を見て外国人は絶句したようだ。本当だろう、この話。すごいよ日本。

『御殿場で』
実際日本すごいよ。昨日信号が一カ所も機能していない御殿場市でもお互いにドライバー同士譲り合ってたし、地元のおじいちゃんおばあちゃんが
手信号やってくれてたりで、混乱もなく本当感動した。9時間してたけど前車を煽るようなドライバーはもちろんいなかったし、みんな譲り合い精神。

『ローマから』
ローマにいる友達からメール。ローマの人々はニュースを見ながらこのような状況でも冷静に対処する日本人に感動し、尊敬の念を覚えながら、非常に心配しているとのことです。

『いつでも買える』
今日、募金箱に金髪にピアスの若い兄ちゃんが万札数枚入れていた。そしてその友人に「ゲームなんていつでも買えるからな」と言っていたのが聞こえて私含め周りの人達も募金していた。
人は見た目じゃないことを実感した。そんなお昼でした。
この話感動しました。

このような、温もりあるメッセージが流れるのです。
被災者の皆様、心より応援しています。頑張ってください。

副住職 藤田晃秀
お子さまを亡くすということは、本当に大きな悲しみと苦しみでございます。

このブログをご覧くださっている皆様方の中にも、まだまだ、後悔ばかりで前に進めない方もいらっしゃるかもしれません。召されたあの子が愛おしく想うが故に苦しんでおられる方もいらっしゃるでしょう。

その後悔や苦しみは、あなたの心に優しさや温もりというすばらしい心があるからこその苦しみでございます。哀しみが深ければ深いほど、優しさ温もりのお心に包まれている証です。

その繊細な優しさは誇りに思ってください。

ただ、それだけでは、お子さまたちは決して喜びません。逆に、あなたを心配しておいでです。それは、心優しいあの子たちの願いは、親の幸せだからでございます。

まず、ご理解いただきたいことは、お子さまたちは決して、親を苦しませるためや悲しませるためにお腹に宿ったのではないということです。

ご両親に、大切なことを伝えるために宿られたのです。あなたがいろいろなことを考えるのは、この経験あってのことです。それはお地蔵さま、そしてお子さまからの贈り物でございます。

人にはそれぞれ、辛い過去があるからこそ、優しさや心配りができるようになるのでございます。それだけでも、あの子たちの宿った意味がございます。

お地蔵さまや水子さまは、「慈悲の心」をお持ちでごす。
慈悲の心とは、以前にもこのブログでお話させていただきましたが、「愛」と「許し」でございます。
仏さまは、すべてを許し、すべてを愛し、温かく包み込んでくださるお心をお持ちでらっしゃるのです。

あなたは許され、そして愛されているのですよ。感謝しましょうね。

中には自分を許せないことで苦しんでおられる方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは自分を許すことが最も大切です。自分を許すことで、あなたの心はとても軽くなります。
でも、自分を許すということは、とても難しいですね。

私が著書した「哀しみからの旅立ち」というお話がございます。
この内容をご覧になってください。
◆PC http://www.enmanji.com/soudan/iyasi.htm
◆携帯 http://www.enmanji.com/i-soudan/tabidati1.htm

あの子は、決してあなたを怒っていませんよ。
慈悲あるお地蔵さまや、お子さまはあなたを許してくださっています。
あなたを心から愛してくださっています。

あの子の想いを、しっかりと理解してあげることが「許し」への第一歩につながることでしょう。

慈悲ある可愛らしい赤ちゃんとして、これからも大切にいたしましょうね。

【追伸】
ご相談ごとなどございましたら、お気軽にご相談くださいね。
常光円満寺まで来寺くださっても、お電話でも結構ですよ
真心を込めて相談に応じさせていただきます。
先日、こんな内容の投稿文を見つけました。

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一人娘も社会に出て、リストラもされずに無事に定年退職をした最近、これと言って趣味がなく、家に居る時間が多くなっていた。

朝起きたら新聞を読み、散歩に出かけ、テレビを見て、買い物に行き、晩酌をする…
そんな毎日を繰り返している今日この頃…
ある日、娘が電話で大笑いしていた。

ふと気づく…
「最近、俺の前では笑ってくれないな…」
可愛い一人娘、大事に育てて、親離れするのは良いが、たまには笑って話がしたい!

時間を持て余してる私は、娘の趣味である陶芸を習い始めた。

最初は娘の気を引くために始めたのだが、これがまた面白くて、自分が夢中になっていた。

試行錯誤を繰り返し、3ヶ月たった頃にとても綺麗な器が完成した。

私は嬉しくなり、家に器を持って帰り、娘に見せた。

「どうだ?この器!綺麗だろう、お父さんが作ったんだ」

すると娘から意外な言葉が返ってきた。

娘は久しぶりに私に笑顔を見せながらこう言った。

「お父さんの笑った顔、久しぶりに見たよ」

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とても心温まる文章ですね。

この文章を読んで、私もふと思い出した出来事があったのです。

先日、私の友人とその家族がお寺に遊びに来てくれました。
ただ、夕食の席で、その友人の母親は、なんとなくもの寂しげにされているような感じで、あまり笑顔がなかったのです。
私は、せっかく遠方から来てくださったのに、失礼なことがあったのではないかとか、具合でも悪いのかとか、心配して少し落ち込んでいました。

夕食後、友人に「お母さん、具合でも悪いの?」ってきくと、友人から「お前のこと、元気がないみたいだったから心配していたよ」っていわれてしまいました。

お互いに心配していたんです

私が、いつもどおりの笑顔でいたら、友人の母親も笑顔で楽しい時間を過ごすことができたはずなんです。
友人の母が、元気がなかったとき、私も心配して一緒に落ち込んでしまうのではなく、笑顔や元気をあたえることが必要だったのです。
本当に申し訳ないことをしてしまったなって感じました。

まずは自分から、なのですね

『信頼されたければ、信頼すること』

『元気でいたければ、元気を与えること』

『幸せになりたければ、幸せにすること』

『愛されたければ、愛すること』

あなたが笑顔でいれば、あの子も笑顔でいてくれるのですよ。
あの子の幸せのためにも、あなたの優しさや温もり、そして笑顔を大切にしましょうね。
本年も平日にも関わらず、多くの方にご参拝いただき本当に感謝しております。お供え物も、皆様方の想いの感じられるすばらしい贈り物ばかりでございました。中にはお供え物をお送りくださった方もいらっしゃり、本当にありがたく大切にお供えさせていただきました。
また、当日は参拝したくても、できなかった方も多くいらっしゃったことと存じます。皆様方の想いを大切にお地蔵さま、そして水子さまにお届けさせていただきました。

この度の法要は、例年の如く、お地蔵さまのお歌の奉納から始まり、ご詠歌の奉納、献灯・献花・献香、そして七名もの僧侶による地蔵尊法要、そして最後に山本陽子さんのお歌を皆様に聞いていただきました。
読経内容を本年は少しだけ変更させていただき、今まで以上に深い内容のお経をお唱えさせていただきました。
その分、少し長めの法要になりましたが、毎年参拝くださっている方の中には、おわかりくださった方もおいでと存じます。その変更内容もふまえて、本年度もすばらしい法要になったことと存じます。

法要が終わった後、毎年お話をさせていただいているのですが、今年のお話は、少し悲しいお話ですが温かい親子愛を描いたお話をさせていただきました。

これは15年程前、実際にあったお話でございます。悪性リンパ腫と診断された小学校3年生のお子さまと、母親とのお話です。悪性リンパ腫という病気は、リンパ節などが腫大する血液の癌で、治療法としては、放射線治療や抗がん剤をつかう科学治療といわれる治療法をするのです。ただ、この治療は激しい吐き気や副作用と戦わなくてはならない、何も知らない子供にとってはあまりにも残酷な治療なのです。
医者は母親に、この治療をしたとしても半年の命だと宣告されます。その宣告を聞いて母親は悩まれたのですが、この子の寿命が少しでものびるのであればという思いで、治療をさせる決心をされたのです。

そして治療が始まったのですが、想像以上に苦しまれて、嘔吐をくりかえすようになり、食事も充分に食べられなくなりどんどん痩せてしまわれたのです。また、薬の副作用で、髪の毛もすべてぬけてしまったのですが、それでも一生懸命病気と闘われたのです。母親はこの苦しむ息子の側について、朝から晩まで時間の許す限り、一生懸命励まされたそうでございます。

そんな息子さんに一つだけ大きな心の支えがありました。それは学校のクラスメイトからの手紙でした。
クラスメイトからの手紙は毎日のようにとどきます。手紙が届くたびに、息子さんはすべての手紙を嬉しそうに母親に読んで聞かせてくれたのです。ところが1ヶ月ほどたったころから毎日とどいていた手紙があまり届かなくなってしまうのです。
そこでお母さんがお友達のふりをして、毎日手紙をとどける決心をされるのです。お母さんと息子さんの文通が始まります。息子さんは、母親の書いた手紙とは知らず、毎日、そのお友達からの手紙を読むこと、そしてお返事を書くことに大きな生きがいを感じるようになったのです。
いつのまにか半年の命と宣告されてから三年の月日が経っていました。やりとりした手紙の数は1000を超えていたそうです。
そしてある日、いつものように「返事を書いたからだしておいて」と預かった手紙。その手紙にはお母さんのことが書かれていました。
お母さんがプレゼントしてくれたものや、お母さんに怒られたこと、退院したときのためにと勉強を教えてくれたこと、その日の手紙はお母さんのことばかりでした。鉛筆を持つのもやっとなほど弱っていたため、震えた字でしたがぎっしりと書かれていました。

お母さんは息子がこれほど自分のことを思ってくれていたと感動し涙されるのです。
そして最後の一文。
「これからも、いつまでも二人で手紙を交換しあえたらいいね。ほんとうにありがとう・・・お母さん」
お母さんは泣き崩れました。
いつから知っていたのでしょう?息子を励ますつもりが、逆に励まされていたのだと知るのです。
息子さんは自分の最期を感じ、お母さんに感謝の気持ちを伝えたかったのでしょう。
そして、その手紙を最後に、数日後、闘病生活3年を含めた11年間という短い生涯を終えたのでございます。最後は安らかな笑顔だったそうでございます。

友達に成りすまして返事を書く、その思いやりを母の愛情として受け取ったからこそ、息子さんは最後まで知らないふりをしていたのです。最後まで母の愛情に包まれて息子さんは本当に幸せだったと思います。
そして最後に息子から最高の思いやりの心を受け取ったお母さん。自分より先に子供を見送るということは、人生における最も大きな苦しみです。しかし、この息子さんは残されるお母さんに、生きる勇気を与えてくれたのではないかと思います。笑顔と感謝の言葉をもって・・・

「ありがとう・・・おかあさん」
いつまでも忘れることのない言葉、今後生きていくうえでの勇気、希望になっていくことと思います。

私がこのお話を通じて申し上げたかった事は、今を精一杯生きること、そして、いつも人に思いやりの気持ちを持つこと。その心を大切にしていただきたいということでございます。
その精一杯の心は、人のためだけではなく、自分自身が前向きに生きるための勇気にもつながることでしょう。

召されたお子さまを、これからも精一杯愛してあげるお心も大切になさってください。
たしかに子供たちは、お地蔵さまに救われお慈悲を学び、美しい世界でお友達と仲良く幸せにお過ごしでございます。しかし、召されたお子さまにとって、お地蔵さまでさえも与えることのできない、とても大きな喜びが1つだけございます。それは、親の愛情なのです。

この地蔵尊法要では、そんな皆様方の愛情、そして感謝のお心というすばらしい贈り物をお届けさせていただきました。多くの愛に包まれた最高の法要になったことと存じます。

これからも皆様方にとって「癒しのお寺」としてありつづけるよう、日々精進してまいります。
いつまでもお子さまたちの幸せな笑顔を願って・・・
合 掌

言葉は、とても大切でございます。

相手をいたわる言葉、ねぎらいの言葉、感謝の言葉、思いやりのある言葉は天国言葉と言われ、そのような言葉をよく使われる方は周りからも好かれますし、幸せになれますよ、といわれる言葉でございます。

逆に、愚痴や不平不満、また悪口などは地獄言葉と言われ、このような言葉をよく使われる方は、幸せになることができないですよ、といわれる言葉でございます。

どうせなら、皆様方には常に天国言葉を使うように心がけていただきたいものでございます。

とは申しましても、自分は天国言葉を使いたいのに、周りの方が地獄言葉ばかりを使っているという場合もあるでしょう。周りと同じように、自分も不平不満や愚痴いってしまいたくなるかもしれません。

そんなときでも、ご自身だけは天国言葉を使うようになさっていただきたいのです。


きっと、あなたには召されたお子さまをも愛せるという、美しいお心があることでございましょう。そのお心は、とてもすばらしいお心でございます。
ただ、あなた自身が、その優しく美しい心をお持ちでも、周りには水子さまのことをよく思われない方や、心無い言葉をかける方もおいでかもしれません。

たとえ、そんなときでも、水子さまを想う優しいお心を大切にしていただきたいのです。


皆様方はハスの花はご存知でしょうか。
ハスの花は、見るものを魅了するとても美しい花でございます。

このハスの花の、本当にすばらしいところは、泥だらけの中に咲くのです。泥だらけの中から芽がでてきて、一切、泥がついてないんです。それだけでなく、皆様方が、きたないと思っている泥から栄養をとってるんです。

そして見るものを魅了する美しい花を咲かせてくれるんです。
とてもすばらしい花だと思いませんか?


会社の人間がどんなけ否定的なことを言おうが、なにしようが、あなただけは、けがれることなく、天国言葉を言い続ければいいんです。

天国の赤ちゃんのことは、あなたの心の中だけでも、美しい存在として思ってあげればよいのです。

また、ハスの花の根は、つながっているんです。
ですから、あなた一人だけでもずっと天国言葉を言い続けていたら、それは一人二人三人というふうに徐々に増えていくんです。

観音さまは、左手にハスの花をお持ちでございます。
これは、周りがどれほど穢れていても、自分だけは一切穢れることのない心を教えてくださっているのです。

また、どのような人間でも、ハスの花のような、穢れることのない仏性といわれるとても美しい心があるのですよ、ということを教えてくださっているのです。

ハスの花の心、大切にしましょうね。