
まず、本年の地蔵尊大法要にお参りくださった方々、お申込くださった方々、お供えくださいました方々に心より御礼申し上げます。午前11時からの法要には、堂内にまったく入りきれないほど大勢のお参りの方がおいでくださり心より感謝しております。午後からはあいにくの天候になりましたが、午後4時からの法要も、堂内がいっぱいになる程の方に参拝いただきました。ただ、午後7時の法要の時は大雨警報がでていたようで、お参りは少なかったのですが、それでもおいでくださる方々もいらっしゃり本当にありがたく感じました。
皆様方の想いのつまったお供え物も沢山あがり、あの子たちにとって最高の贈り物になったことでしょう。
また、当日は参拝したくても、できなかった方も多くいらっしゃったことと存じます。皆様方の想いを大切にお地蔵さま、そして水子さまにお届けさせていただきました。
この度の法要は、例年の如く、お地蔵さまのお歌の奉納から始まり、ご詠歌の奉納、献灯・献花・献香、そして僧侶方による地蔵尊大法要、最後に山本陽子さんのお歌を皆様に聞いていただきました。
法要が終わった後、お話をさせていただいているのですが、今年のお話は、私事についてお話をさせていただきました。突然伯父が亡くなり傷心していた私の心を救ってくれたのは、ある仏教のお話でございました。
これはお釈迦さまの時代、コ-サラ国の舎衛城という町にゴーダミーという一人の女性がおりました。
ゴーダミーは結婚後、なかなか子宝に恵まれなかったのですが、ようやくして待望の男の子を授かりました。母となったゴーダミーは嬉しくて、赤ちゃんを大切に育てられていたのですが、残念なことに最愛の赤ん坊が急に病気で亡くなってしまうのです。ゴーダミーは気が動転して、その息子の亡骸を大切に抱きかかえて、町中を走りまわり、「どなたかこの子の生き返る薬を作ってください」泣きわめきます。その姿をご覧になられて、町中の方はみな涙されるのですが、誰もどうすることも出来ません。
ちょうどその時、お釈迦さまが祇園精舎から舎衛城の町まで托鉢にまいられました。ゴーダミーはお釈迦さまの姿を見るなりお釈迦さまの元へと駆け寄って、「お釈迦さま、どうか私の子供を生き返らせてください。お願いします」と涙ながらにお願いします。お釈迦さまは亡骸をゆっくりご覧になられて、顔をあげられて
「わかりました。では、私がこの子を生き返らせる薬を作って差し上げましょう」と。
ゴーダミーは喜びます「お釈迦さま、ありがとうございます。是非ともその薬をお願いいたします。」
「では、その薬の原料になる芥子の実をどのご家庭からでもいいのでもらって来てください。」
芥子の実というのは、当時のインドの香辛料でどのご家庭でもあるものです。
ゴーダミーは「わかりました」といって、芥子の実をもらいに行こうとしたときに、お釈迦さまが
「ちょっと待ちなさい。ただし、その芥子の実は、必ず今まで誰も亡くなられた方がいない家からもらってくるのですよ。」と彼女に念を押されます。
「はい、わかりました」と言って、彼女はある一軒の家に飛び込んでいかれます。
「すいません。芥子の実をいただけませんか?」と言うと、家の方は「芥子の実くらい、お安いご用ですよ。出してあげましょう」と言われたので、「ちょっと待ってください。お聞きしますが、お宅では今までに誰か亡くなった方はおいでですか?」と聞くと、「いや、実はね、去年おじいちゃんが亡くなってね。」と、「じゃお宅は駄目です」といって、彼女は別の家に飛び込んでいくわけです。
しかし、もうお気づきでありましょう。どの家もどの家も死者を出していない家などないのです。中には自分と同じように小さなお子さまを亡くされているご家庭もあるのです。何十件と訪ねまわっていくうちに、彼女は少しずつ正気を取り戻していくわけでございます。
『最初は私一人がこんな悲しい思いをしているものだと思ったんだけど違うんだ。みんな、悲しみに耐えて生きているんだ。』
そのことがわかり、彼女はお釈迦さんのもとへ戻っていきます。お釈迦さんは托鉢をやめて、ずっと待っておいででございました。
「芥子の実はいただけましたか?」
「いえ、お釈迦さま、私にはもう芥子の実は必要ありません。この子をこのまま安らかに眠らしてあげようと思います。」と言われた。そういった話がございます。
常光円満寺には、先祖供養や水子供養にお参りなさる方もたくさんおいででございます。いつも笑顔で接してくださいますが、みんな、あの悲しみや苦しみを抱えているのです。あの悲しみを乗り越えての笑顔なのだと改めて痛感いたしましたし、その姿は私に大きな勇気を与えてくれました。
深い哀しみばかりだったお心が年を重ねるごとに、優しい笑顔でお参りできるようになっていくお姿は、見ていて美しいものでございます。そして、その姿をみて、誰よりも喜んでくださる方は召されたお子さまでございましょう。あの子の為にも、笑顔を大切に毎日をお過ごしくださることを心より願っております。
最後に、この度の地蔵尊大法要も、多くの皆様の愛に包まれたすばらしい法要でございました。この皆様方の想いを大切に、これからも責任をもってお供養を勤めさせていただきます。
いつまでもお子さまたちの幸せな笑顔を願って・・・。
合 掌
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