「苦しくなったら、苦しみを味わえるだけ生きているんだと感謝した。うれしいときはまだ喜べるんだと、また感謝した。」

これは、有森裕子さん(元マラソン選手)が言われたお言葉でございます。

以前、私が足を骨折した時、整形外科の先生が教えてくださったことなのですが、同じ年齢でも骨折の治りの早い方と、なかなか治らない方がいらっしゃるそうなんです。
それには、それぞれには共通点があって、なかなか治らない方は、たとえば100メートル歩けるようになったときに、「先生、まだこれだけしか歩くことができません。」と否定的な言葉をいわれるそうでございます。
それに対して、治りが早い方は、100メートル歩けるようになったとき、「もう、こんなにも歩けるようになりました。」と感謝の気持ちを話されるそうなんです。

回復に向かっている時に、回復する身体に感謝の気持ちを持つことができるか、回復が遅いと否定的な気持ちになるかで、大きく運命を分けるんです。

冒頭に挙げたお言葉は、有森さんが94年11月に手術し、リハビリを経て、再スタートしたときのお言葉です。
そして96年のアトランタオリンピックで銅メダルを獲得したのでございます。
あの苦難を乗り越えて銅メダルを獲得した時、「はじめて自分で自分をほめたいと思います」と名言を残されました。

人生を輝かせる方法は、「ありがとうございます」という感謝の思い。

水子になってしまわれたことで、悲観的な気持ちでいれば、いつまでも心の傷は癒えないのでございます。
ところが感謝の気持ちを大切にすると心の傷は早く癒されることでございましょう。

人生に哀しみや苦しみがあるから、人の思いやりを感じたり、人にも優しくなれるのです。お子さまを亡くされた深い哀しみや苦しみは、あの子がご自身の心の成長を願ってお与えくださった試練なのですね。

『少しの時間でも親にさせていただいたことへの感謝』

『心の成長を願っての試練を与えてくださったことに感謝』

『温かく見守りくださるお子さまに感謝』

感謝の気持ちを持てば、心の傷は癒えやすくなりますし、あの子からの贈り物を感じることが出来るでしょう。
人生が、今まで以上に輝いてまいります。

『幸せだから感謝をするのではなく、感謝をしているから幸せを感じられる』

この気持ちを大切に、感謝の気持ちで今日もお過ごしくださいね。

副住職 藤田晃秀


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